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2018年 【バル 経営】 成功のコツ

肉バル
 

1.バル業態のライフサイクル

 

バル業態が注目され始めたのが2000年代前半だとすると、業態として15年のライフサイクルを経たことになります。全ての製品やサービスには「ライフサイクル」が存在し、ライフサイクルに応じて取るべき戦略が異なります。2018年のバル業態の打ち手を整理したいと思いますが、まずは、バル業態のライフサイクルを振り返っておきたいと思います。

 

もともと日本におけるバル業態のスタート(導入期)はスペインバルでした。立飲み、小皿料理(タパス)、ワインをカジュアルに楽しむといった切り口が注目され、拡がっていきました。

それまで欧風料理店はいわゆるレストランスタイルで、白のテーブルクロスにソムリエがワインを説明し、テイスティングをし、料理はコース料理が主流で、シェアリングの料理ではなく、パーソナルなチョイスで楽しむものでした。

この切り口のレストランに対しては、クイーンアリスのようなプリフィックス(予算は一定で選択の幅を持たせたコース)という販売方法や、Sのようなワインの均一価格などといった「わかりやすさ」と「予算の明朗化」が一つ進んだ“マーケティング”でした。

 

一方で、バル業態は「気軽さ」「カジュアルさ」「楽しさ」「手軽さ」「ワイワイガヤガヤ」といった立ち位置で登場し、男性ターゲットの居酒屋には行きづらい女性客がバルを好んで利用するようになりました。

その後、フレンチバル、イタリアンバルなどと国籍が拡がります。

そして、その次に「魚料理に強いバル」「肉料理に強いバル」など食材に強みを持ったバルが登場します。その流れで登場したバル業態の一つがニクバルです。

 

もともと東京を中心に都市部を中心に拡がったビジネスモデルですが、現在バル業態は地方都市においても珍しいものではなくなってきました。

 

 

2.バル経営を短命で終わらせないコツ

 

上記のように、ライフサイクルが進行すると、ビジネスモデルの型に変化が訪れます。

特に、飲食業界は「大きな市場規模」と「購買頻度の多さ」と「参入障壁の低さ」が業態特性ですので、明確にポジショニングを確立しきれないお店は瞬く間に陳腐化していきます。

このような業界特性を持つ市場において「持続力の高いビジネス」を展開していくためには、いくつかのポイントがあります。

 

①主力商品の高い商品力

新しいビジネスモデルは「利用動機」の切り口が異なることで登場するケースがほとんどです。バルの場合、それまでの欧風料理はレストランスタイルで体験できるものでしたが、それを「居酒屋感覚で」カジュアルで気軽に利用できるように利用動機を変更したことで生まれたビジネスモデルです。しかし、この「利用動機」の切り口というのはマネがしやすいため、ライバルの出現が多く発生します。例えば、2000年代に居酒屋業界では「照度の低い空間」「個室感」を切り口とした業態が登場し、ブームになりましたが、当時一世を風靡した業態で今も同様の繁盛、収益性を保っているお店はあまり存在しません。つまり、「利用動機」を切り口にビジネスの隆盛期に乗ったあとは、「商品力」を軸にした来店動機に上手にスライドすることが重要です。

 

②商品を軸とした来店動機を確立する

多くのバルは「おしゃれなお店」ということで初回来店を取りやすいのが特徴です。女性客や若者が「おしゃれな空間」や「SNS映えの良い商品」などに惹かれて来店します。

しかし、これらの来店動機だけでは「持続性が弱い」ため、それ以外の来店動機を確立していくことが重要です。「商品を軸とした来店動機」を確立できていないバルは開業から時間の経過とともに衰退していきます。一方で、繁盛を継続しているお店には「価格と価値のバランスでパフォーマンスの高い商品」が存在するケースが大半です。

つまり、短命で終わらせない強いバルを作るためには「商品力向上」が欠かせないのです。

一般的にはライフサイクルが進行すると原価率の高いお店が勝ち残ります。つまり、「原価率の上昇を吸収できる自店ならではの仕組みづくり」が持続的繁盛と収益性確保を両立するうえで重要になります。

お客様が評価し、それが自社ならではの強みと昇華出来るかどうかが、ライフサイクルが進行した状態では経営の競争力になっていきます。

 

③事業展開エリアでのシェアNO.1化

経営を安定化させる上で、他社よりも早くシェア(市場占有率)を獲得することはその後の競争を有利に導きます。特に経営資源に限りのある中小企業はむやみに商売の対象エリアを拡げるよりも、自店の知名度が影響しやすいエリアに絞って、店舗展開をしたり、販売促進活動をすることが重要です。日本でNO.1を目指す前にまずは地元商圏でNO.1になることの方が重要です。また、自店の知名度、影響力の高いエリアというのは「経営の収益性を高める」ことに直結します。あらゆる経営資源や経費の効率性が高まるのです。地方でNO.1になることを目指したのほうが、地方から東京へ進出するよりも高収益な経営を実現しやすいです。

アメリカには西海岸で圧倒的に強いハンバーガーチェーンが存在します。全米、さらには世界市場ではマクドナルドがNO.1のハンバーガーチェーンですが、西海岸エリアにおいては「IN&OUT」というローカルチェーンは、マクドナルドと隣接しても負けない強さを持っています。

「限られた経営資源をどこに集中するのか」は中小企業の経営においては非常に重要です。

 

 

3.2018年・バル経営のポイント

 

①価値ある食材調達を行い商品力を向上させよう

「おしゃれな空間利用」だけの来店動機で集客していたお店の不振化が加速しています。もはやそれらの来店動機は「希少性」がなく「陳腐化」し始めています。持続力のあるビジネスモデルに昇華させるために「商品力向上」に力を注ぎましょう。

 

②価格構成の見直しの実施

そして、食材コストの上昇を単純な値上げだけで解消してきたお店にも限界がやってきます。狙う客単価に見合った商品売価への修正が必要なお店が増えています。もう一度ゼロから自店メニューの中心価格帯を設定し、再点検を行いましょう。

 

③店頭リニューアルの実施

当初「おしゃれな店構え」ということで作ったお店も近隣に似たような店舗が増えてくると、埋没し始めます。例えば「赤色の看板」は一般的には目立ちますが、周辺に「赤色の看板」のお店が増えると、埋没してしまいます。同じような現象が起こっているエリアが増えています。

改めて外部環境が変化した時点の商売のエリアを俯瞰してみて、店頭のリニューアルを実施することが必要になります。市場にプレーヤーが増えると「差別化」が必要になると言いますが、差別化とは「他と違う」ことで力を発揮するものです。

 1)明るく目立つ店頭

 2)店内の明るさが外からも見える

 3)主力商品の価格が店頭でハッキリとわかる

 4)おしゃれさとカジュアルさを再融合した店頭

 

④「立地」が負け組に転じている場合は「移転」も考慮

バルの基本は1F路面での店舗開発が基本です。路面にお店の間口をしっかりと取りつつ、2Fにも客席を設けることは良いですが、そもそも1Fにお店の間口を持たない空中階や地下フロアで苦戦している場合は、「移転」も考慮するのがおススメです。不利な立地で商売を好転させるのは非常に力の要ることです。同じ経営努力をするにしても「結果の出やすい場所」を選択することは非常に大切です。

 

4.バル経営の魅力は『人材採用力』

 

上記のような視点が必要なライフサイクルに差し掛かったバル業態ですが、バル業態には他の飲食店には無い経営的な魅力があります。

飲食業界は空前の人不足です。この問題は当面続くでしょう。

多くの飲食店は「人が不足」していることで「売り逃し」、「既存人材の労働環境の悪化(長時間労働)」、「求人コストの上昇」などの経営課題を抱えるところが増えています。

しかし、バル業態は「人材採用力の高い」ビジネスモデルです。

先週当社の会員企業で2社がバルを開業されました。いずれも福島県郡山市、兵庫県神戸市といった地方都市での事例ですが、いずれのお店も既存事業(居酒屋や中華レストラン)では考えられない量の求人応募数を獲得できました。バル業態はこれらの人材不足の問題を解決しやすいビジネスモデルです。

ぜひマーケティング的な視点のみならず、自社のリクルーティング的な視点も組み合わせて【バル 経営】を深堀していっていただければと思います。

▼新しいビジネスモデルをお探しの方はこちらのページもご覧ください。
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担当者

外食・中食ビジネスチーム

船井総合研究所の外食専門コンサルティングチームです。
新ビジネスモデルの提案、新規出店、リニューアル、集客、人材採用、評価制度構築、FC本部構築など、飲食店に専門特化したご提案をさせていただきます。

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