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飲食店コンサルタント20のノウハウ!新規開業、売上アップを実現する方法


 

1.はじめに 「時流適応」と「原理原則」






飲食店経営において経営者である皆さんの頭の中に常に、おいていただきたいキーワードが「時流適応」と「原理原則」です。
コンサルティング会社として創業50年を迎えた船井総研のコンサルタントは、どの業界のコンサルティングを行う場合でもこの2つの視点を重視します。
外食業界は、常に新しいビジネスモデルが登場し、ノウハウも日進月歩で進化する変化の激しい業界です。
様々なプレーヤーが栄枯盛衰を繰り広げる変化の激しい市場の中で、成功を継続するためには非常に大切なキーワードです。

 

1-1.時流適応(じりゅうてきおう)






短期的なトレンドを「流行(りゅうこう)」というのに対し、「時流(じりゅう)」とは中長期的に継続する(であろう)トレンドを指します。

経営は「継続」することが大切ですので、短期トレンドである「流行」に乗ってしまうとそのマーケットが流速に縮小した際に「自分たちのビジネス」も一緒に縮小することになります。一方、中長期的に持続的成長が見込まれる「時流」に乗ることは、「自分たちのビジネス」を安定的に成長させやすくなります。もちろん成長市場にはライバルの出現も起こりますので、「差別化」や「競争優位」をビジネスモデルに組み込んでおくことは重要になりますが、「時流適応」することは、飲食店経営者として経営の舵取りをするうえで、最も重要な視点といえます。

どんなに細かなWEBサイトのマーケティングやきめ細かな従業員研修を実行しても、実行するビジネスモデルが「時流」から外れていると、根本的な問題解決(=持続的な売上げ向上)にはつながりにくいです。コンサルティングの現場において、クライアントと最初に「時流」に関して共有認識を持つことが長期的な繁盛店づくりにはとても大切です。

 

1-2.原理原則






時流が「変化のベクトル」であるのに対し、「原理原則」とは不変のルールといえます。飲食店ビジネスにも様々な不変のルールである「原理原則」が存在します。

美味しさの一つの絶対的価値としては「温度」が挙げられます。「熱いものはより熱く提供する」「冷たいものはより冷たく提供する」ことは飲食店ビジネスを成功させる上では押さえておきたい必須の「原理原則」です。ぬるいコーヒーやぬるいラーメンを提供してしまうといくら「味」が良くても、お客様は満足しません。実際に熱々提供にこだわるには「お客様が一口目に食べる際の温度を85度以上に設定」する事で、「熱い! 美味しい!」という触覚と味覚へ訴えかけることが可能となります。

また、飲食店では「鮮度」という絶対的な価値も存在します。多くの場合、鮮度は美味しさに直結します。また「ボリューム」も重要な要素です。グラム数や見た目(皿に対する面積や高さなど)のボリューム感はお客様にとっては「わかりやすい価値」で、非常に重要な原理原則です。
いくら時流に乗った飲食店を開業しても、原理原則に則ったビジネス設計や運営が為されていない場合、お客様はリピーターになりませんので、そのビジネスはいずれ陳腐化します。コンサルティングの現場において私たちは原理原則も重要視しております。


2.飲食店開業前にやるべき9つのこと






ここからは具体的に飲食店を開業し、経営を継続・成功させていくうえで大切な視点を解説していきます。飲食店ビジネスにおいて「美味しい料理」の提供は非常に大切なことですが、美味しい料理だけではなかなか繁盛させることはできません。美味しいという価値は万人に向けての共通要素である一方で、味覚は人によって評価がわかれる要素でもあります。「繁盛の再現性」を高めるためには下記のポイントに則して、ビジネスの設計を行うことが大切です。


2-1.立地選定






飲食店経営を成功させるためには「どこに出店するか?」は非常に重要なことです。皆さんもご存じの通り外食チェーンが経営する飲食店は基本的にどこにあろうとお客様に同じ体験をしてもらうべく、同じコンセプトです。同じメニュー、同じよう外観デザイン、同じ価格、同じ接客システムであるにも関わらず、繁盛する店とそうでない店があります。「どんな飲食店にするのか?」という中身のことに想いを馳せることは非常に大切ですが、そもそも「立地」が間違っていれば、繁盛する確率は一気に下がります。一方で、一般的に「好立地」と言われる場所は「家賃が高い(高くなりやすい)」ものです。いくら集客できても、儲からなければ(利益が出なければ)、経営は継続できません。極端な話自社物件で家賃や銀行返済が無ければ、大きな集客が無くても経営の継続は可能になります。

「立地」と「家賃」のバランスを見極めることは皆さんの飲食店ビジネスを成功させ、持続的な経営を行ううえで、非常に重要です。また「好立地」は時流の変化や周辺環境の変化によっても評価は変わります。今回新型コロナウイルスの影響で、オフィス街や大きな街の繁華街という立地は飲食店経営を継続する上で、非常に難しい立地に変わりました。また、外国人観光客でにぎわっていた立地も一気に人通りが無くなりました。郊外立地でもバイパスの開通などによって、地域の交通の流れが変わることもあります。

飲食店ビジネスにおける立地診断コンサルティングは非常に大切です。
飲食店ビジネスは初期投資がかかるものですので、「継続」することが大切です。立地選定は妥協せず行ってください。


2-2.「何屋」をやるのか?






外食市場の特徴としては「市場規模が大きい」そして「プレーヤー数が多い」ことが挙げられます。世の中には非常にたくさんの飲食店がある中で、お客様に選択されるお店を開発するためにはまず「何屋」をやるのか?を決めることが大切です。お客様がお店を選ぶ際は「今日は何を食べようか?」

「今日は〇〇を食べたい!」という動機が出発になるケースが多いです。「寿司屋」「焼肉屋」「焼鳥屋」「ラーメン屋」「カレー屋」などなど多様な専門店が存在しますが、まず自分たちはどの専門市場を選ぶのか?が飲食店ビジネスを成功させる上では必須になります。そして、その選択した「専門店市場」の中で自店が他店と比べて選ばれる理由(=差別化、競争優位)をビジネス設計に組み込むことが大切です。

また、「今日は家族で外食に行こう」「今日は彼女の誕生日だから雰囲気のいいお店を選ぼう」「あまり時間がないからひとりで短時間で食べられるお店はないかな?」などの利用動機からお店を選ぶケースもありますので、「どんな何屋」にしていくのか?を考えることも必要です。ぜひ「何屋」をやるのか?皆さんが開業したいお店の立ち位置を明確にしてみてください。

多くの飲食店が乱立する成熟市場の中でいかに差別化を図るのか?!は私たちのコンサルティングにおいても非常に大切な視点です。


2-4.価格戦略の決定






お客様は同じ品質や価値の商品・サービスであれば「より安い」ものを選びます。また同じ価格の商品・サービスであれば「品質や価値の高い」ものを選びます。どの価格戦略をとるのか?は集客に大きな影響を与えるので、皆さんが出店を検討されているエリアのライバル店やチェーン店の価格調査をすることは大切です。私たちのコンサルティングにおいても価格の調査は重要です。

一方で「安かろう・悪かろう」になってしまうとお客様はリピーターになってくれませんので、品質や価値づくりも大切です。あえてチェーン店がとらない価格戦略をとり、品質や価値で勝負することも中小企業や個人店にとっては「差別化」となりえます。多くの焼肉チェーン店が輸入牛肉を使うに対して、差別化として和牛や国産牛を使用することは「棲み分け」を選ぶ手法となり「他店との違い」として成り立ちえます。

また、価格戦略を決定する上では、単品の価格も重要なのですが、会計時の支払い料金がいくらになるのか?の観点が非常に重要です。例えば、居酒屋で3000円の支払い単価となった際に、色々な料理やドリンクを注文して支払った場合と、食べ控えや飲み控えをして支払った場合とでは、お客様の満足度は大きく異なります。そのためには客単価をいくらに設定するのか?そのうえで、単品メニューやコースの価格をいくらに設定するのか?は非常に大切になります。自店のメニュー全体における「中心価格」をいくらに設定するのか?をぜひビジネス設計に盛り込んでください。近年、均一価格や食べ放題や飲み放題などの定額制の価格戦略をとる飲食店が非常に増えています。お客様にとって、会計時の「支払い料金のわかりやすさ」は安心感につながるため、集客する上で非常に重要な要素といえます。


2-5.商品開発・メニューづくり






お客様にいくらの会計金額で自店を利用してもらいたいのか?中心価格をいくらに設定するのか?(=価格戦略)が定まったら、次は商品開発・メニューづくりです。

私たちもコンサルティングの現場においてメニュー提案を行いますが、商品開発をスムーズに進めるためにはまず「ベンチマーク店舗」の調査が必要です。皆さんが開発を進める「専門店市場」の中で、繁盛している先行事例をしっかりと見ておくことが大切です。その際に必要な視点は「先行事例が取り込んでいる客層と展開立地」が、皆さんが開業しようと考えている市場において通用するか?どうかです。大きな都市部の繁華街で支持される商品と田舎の郊外で支持される商品は異なります(重なる場合ももちろんあります)。飲食店は立地によって客層や利用動機が異なるため、ベンチマーク店舗の設定が間違っているとビジネスは失敗します。

ベンチマーク店舗の調査を済ませたら、具体的にモデルとなる商品(食材、提供方法、料理方法など)を定め、自社での仕入力や店舗運営力も考慮して、商品開発・メニューづくりを行います。既に自社にも飲食店運営ノウハウがある場合は、その自社(自店)ならでは長所を活用することも大切です(=長所伸展法)。同質化せず自社(自店)ならではの強みを持ち、明確にし、伸ばすことは飲食店ビジネスを持続的に繁盛させるうえでは、大切なことです。
名物商品、品揃えが定まったら、次に実施することは「メニューブックのレイアウト」です。どんなメニューにするのか?見開き一枚ものにするのか?ブック式にするのか?名物商品の販売個数を伸ばすためにどのような配置を行うのか?価格の明朗性を高めるためにどのような表現にするのか?などなどメニューのレイアウト次第で、売れるものは変動し、客単価も変わります。どのようなメニューレイアウトにするのか?はお客様の満足度をコントロールする要素でもあります。こだわりを持って作った商品がしっかり売れて、お客様に体験してもらえるようなメニューを作りましょう。


2-6.物件選定






1~5までが定まってくると皆さんがどんな飲食店経営をしようとするのか?がかなり明確になってきます。そして次に必要なアクションは「物件」選びです。「立地」戦略が定まっていても、「物件選定」にミスがあるとお店の経営パフォーマンスは最大化されません。コンサルティングの現場においても出店を検討する場合は物件選定を一緒に行います。

物件選定で最も重要な視点は、「視認性」です。ロードサイドであれば車で走っていて100m手前から候補として物件が「ハッキリと目立つ」かどうかが重要です。街路樹や敷地手前の建物で候補物件が見えなかったりする場合は、妥協せず候補から外しましょう。また、視認性が高くても「中央分離帯によって対向車線からアクセスできない」場合や、「駐車場台数が足りない」場合、「駐車場への乗り入れ間口が狭くアクセスが悪い」場合も見送りましょう。

駅前や繁華街のビルイン物件であれば、1階店舗は視認席の確保がしやすいですが、地下や2階以上のフロアとなると、通りを歩いている通行者からの視認性は下がります。つまり、店舗の存在を認知してもらえる確率が下がるため、集客力が下がります。

また物件契約に進む際には、契約条件をしっかり確認しておくことも大切です。建物の構造や周辺環境への配慮などによって投資金額が高くなったり、営業時間の制約があるケースがあります。また、撤退時の条件(内装撤去の費用など)には注意しましょう。

 

2-7.店舗施工プランの策定






物件選定がクリアできたら、いよいよ店舗施工プランの作成です。皆さんが立てたビジネスコンセプトをお客様に「わかりやすく伝える」外装計画がここでは最も重要です。ロードサイドであれば100m手前から「ハッキリと何屋」があるのかわかるポール看板と店舗付随看板が大切です。店舗開発におけるコンサルティングの際も外装計画は重視します。

多くの飲食店が「屋号」を看板に大きく載せるのですが、それよりもまず「何屋」であるかを「大きく看板に書く」ことのほうが重要です。また、目立つことが大切ですので、照明計画と看板や外装の色使いも大切になります。

特に、駅前や繁華街立地の出店の場合、周辺には飲食店以外にも様々な店舗が存在するため、よりハッキリと目立つための照明計画や看板・外装のデザインが重要になります。「目立つ」ためには周辺環境との相対性のあるため、開業当初は目立った看板・外装も経年と共に埋没することも多々あります。定期的な看板・外装変更は飲食店ビジネスを長期的に持続するためには必要な投資といえます。3年に1度程度の頻度で「自店舗は(今も)一番目立っているか?」という観点で皆さんのお店を振替ってみてみるようにしていただければと思います。

次に、店舗内レイアウトの設計です。店舗内レイアウト(=平面図)を作成する際に重視してもらいたいのは、
①可能な限り席数を多くとる
②にぎわい感や活気感が感じられる配置を行う
③入口付近や店内中央など誰にでもアピールできる場所に「調理実演など」の差別化ポイントを設ける ことが大切です。

①は売上高に直結する要素です。②、③は他店舗と比べた際に他店舗に備わっていない価値になるケースが多いです。特に③は、成熟した外食市場の中では他店舗との差別化作りの手法としてぜひ皆様にも研究いただきたい要素です。うどんチェーンとしてこの20年で大きく成長し、うどん店としては後発企業でありながらNO.1チェーンになった丸亀製麺は「できたてを価値としてお客様に伝える」コンセプトを掲げ、オープンキッチンレイアウトを採用し成功されました。

そして平面レイアウトを作成するにあたっては、①、②、③を考慮し、そのうえで、運営の効率化(=導線や設備投資など)も考慮してください。日本は今後少子高齢化がさらに進みますので、サービス業の人不足は長期的な経営課題といえます。生産性の高い店舗開発をすることは収益確保の観点からも重要になるので、セルフレジやモバイルオーダー、さらに特急レーン(配膳用)や配膳ロボットを活用し、これらのシステムや設備を活用して工数削減を想定した飲食店開発を皆様も研究しておきましょう。コンサルティングの現場においても「生産性向上」の視点は非常に重要視しております。

平面レイアウトが固まったら、次は立面図、内装デザインプランの作成です。活気やにぎわい感が伝わりやすく、かつお店の価値を感じてもらいやすい空間づくりを意識して作ってください。これらが完成したら、工事業者への見積もりです。どんなに繁盛をして大きな利益を出すお店になったとしても、銀行返済金額が多すぎると、経営の持続はできませんので、投資金額の設定は慎重に行いましょう。

 

2-8.求人活動・人材採用






飲食店経営において人の力は不可欠です。店舗の運営スタッフは正社員とパート・アルバイトで構成されますが、それぞれに適した求人媒体は異なりますので、地域のハローワークや求人情報誌(インターネット媒体含む)を活用しましょう。

求人活動にあたっては、人材の「定着率」が高まるような環境整備が重要になります。せっかく時間をかけて教育をしたり店舗運営に慣れてもらっても、離職してしまっては店舗の運営力は低下します。離職率の低い店舗づくり、会社づくりは業績の安定に直結するとも言えますので、採用した人が長く継続的に働ける環境を作りましょう。能力や習得したスキルを正しく評価する「評価制度」も大切ですし、給与制度や休暇制度も非常に大切です。また、働くスタッフの「心理的安全性」の確保も重要になります。スタッフが安心して働ける環境づくりを行うためには「コミュニケーション」が闊達になる風土と仕組みづくりが必要です。

また、多店舗展開をしていく場合は「新卒採用」も重要になってきます。経験ゼロの新卒社員を育成するプログラムがないと新卒採用は成功しません。つまり素人をプロに育成するシステムが求められるのですが、逆に言えばこれができるようになると、自社の「理念に共感度の高い人材での組織化」を進めやすくなり、人材の定着率は高まります。飲食店ビジネスを事業として持続的に成長させていくためには「人材開発プログラム」が必須になります。コンサルティングの現場においても人材開発というテーマは、飲食店経営者が最も注力しなければならない仕事の一つであると考えております。

 

2-9.販売促進活動






店舗が完成し、人の採用もできたら、いよいよ新規開業に向けての集客活動の開始です。新規開業時の販売促進活動としては、(立地によって重点媒体は多少異なりますが)これだけスマートフォンが普及した時代において、インターネット上での店舗認知作りは必須といえます。コンサルティングの現場においても「デジタル集客」は非常に重要視しております。

インターネット上での店舗の認知作りとしては、
①グルメサイトの活用
②Googleマイビジネスの活用
③自店舗独自のホームページ作り
④SNSの活用 が挙げられます。

①は無料・有料プランを選択しましょう。③は多少投資金額はかかりますが、掲示できる情報に制限がないため、様々な用途(予約機能、通販への誘導など)に活用が可能になるためぜひ検討しましょう。②と④は無料でできるため、必ず取り組みましょう。特に②は必須で情報を充実させましょう。Googleマイビジネスを活用し、お店の情報発信を充実させることで、お店を探しているエリア内のお客様候補が検索エンジンや地図アプリ経由でお店を発見してもらうチャンスが高まります。

また、紙での販売促進活動もまだまだ重要です。特に出店した場所の近隣に人が住んでいるような商圏の場合、チラシを配布して、お店の存在を知っていただく取り組みは重要です。

チラシを作る際には、
①新規開店である旨を伝える
②わかりやすい地図をつけて、店舗の所在地がハッキリわかるようにする
③主力商品や名物商品などを写真と価格を添えて伝える
④割引券を付けて来店動機を高める
⑤店舗内外の写真も掲載し、どんな店なのかわかりやすく伝える ことを意図して作成してください。
郊外ロードサイド立地であればドライブタイム10分圏、徒歩や自転車などの来店手段による立地であれば5分圏を目安として、オープン告知を実施しましょう。

 

3.飲食店開業後にやるべき9つのこと






上記の流れでオープンしたお店も、経営の観点から言えば本当の勝負はここからです。飲食店経営は初期段階での設備投資が必要なビジネスですので、最低でも投下資本の回収までの年月は持続させなければなりません。また、今後の事業拡大を予定する場合、既存店舗の収益力が店舗展開する上では非常に重要になるため、既存店舗を磨き続けることが大切になります。
新規開業後にやるべきことは大きく9つありますので、一つ一つ確認していきましょう。


3-1.接客力アップ






店舗が開業した後は皆様が当初に立てたコンセプトがブレなく運営面で実践されることが大切です。その中でもお客様と直接触れ合う接点を担う接客担当スタッフの対応力はお客様の満足度、評価を左右します。笑顔やスピーディーな対応は店舗の基本価値です。これらが損なわれているとお客様からクレームをいただくことになります。

そしてクレームの中でも多いのは、
①料理提供が遅い
②お客様から指摘をもらった時の対応の悪さ です。

多くの飲食店は「注文を受けてから料理を作る」運営形態を取りますが、お客様はお腹を空かせた状態で来店されるため、お客様自身の想定している待ち時間よりも料理の提供が遅いと、不満足となります。厨房の生産能力には一定の限界は存在するものですが、時間を要する料理の場合は予め注文をもらう際に一言「こちらのお料理は〇〇分くらいかかりますが、よろしいでしょうか?」と一言添えられると、お客様の事前期待と提供時間のギャップを埋めることが可能になり、不満足を回避することができます。

また、飲食店の運営において失敗はつきものですが、お店側の失敗をお客様に指摘された際に「素直に非を認めて 申し訳ございません」と言えるかどうかはすごく大切です。失敗を素直に認めて、やり直しをすれば多くのお客様は理解してくれますが、自らの失敗を棚に上げるような対応や表情や発言をすると、お客様は怒ります。接客力を高めるためのテクニックは多々ありますし、店舗コンセプトによってもどこまでおもてなし対応をするか?は異なりますが、根本的なお客様対応力としては上記の2つをつぶすことができれば、マイナス点は減らすことができます。

接客力アップを継続的に実践するためには、覆面調査などを活用することもできますし、お客様の声を集める仕組みを導入するもオススメです。コンサルティングの現場においても、お客様の声は活用します。お客様の声をもとにして、店舗スタッフに自発的に考えて改善行動を決める機会を設けることで、お客様満足度を高めようとする風土形成が可能になります。ぜひこのような仕組みをお店の運営に組み込んでいただければと思います。


3-2.店舗運営力アップ






店舗運営力アップの観点では上記1)でも少し触れたようにスピード提供は大切です。お客様の満足度アップの観点からも大切ですが、ビジネス観点からもスピード提供は重要です。限られた営業時間の中でいかにして席回転させるかによって売上高は変動します。せっかく多くのお客様を呼ぶことができても、運営力が低ければ、売上に繋げられません。空席があるのに、片付けが出来ておらず、案内ができなかったり、店内には空席が沢山あるのに、入口の待合席に人が溢れ、それを外から見たお客様が「入店をあきらめて」他店へ行ったりするようでは、売上につながりません。
また、店舗運営にはスピードだけでなく、品質も求められます。スピードと品質を両立することが「運営力」として求められるのです。

運営力には「調理品質」も求められます。同じ「標準レシピ」を使っていてもレシピ通りの再現ができるスタッフとそうでないスタッフとでは、お客様の満足度が異なります。これらは「教育」と「継続の動機づけ」が重要になりますが、これらを高い精度で再現しようとする挑戦は、特に多店舗展開をしようとする際には必須となります。逆に言えば、これらの仕組み作りや作った仕組みの徹底・ブラッシュアップが機能しなければ、せっかく良い店舗コンセプトを構築できたとしても多店舗化には繋がりません。採用、教育、持続化できる動機付けとシステムが備わって、初めて、持続的に店舗運営力を向上させることが可能となります。特に人手不足が進む時代において、コンサルティングの現場でも運営力アップのテーマは非常に重要視しております。

 

3-3.持続的な商品力の向上






運営品質としての商品力も大切ですが、一方で「標準レシピ」としての商品力の向上も飲食店経営を持続的に発展させるためには必要な取り組みです。開業当初は力がなく、仕入れられなかったり、技術がなくて高い品質の商品開発ができないことは多々あります。しかし、その状態にいつまでも甘んじていると、他店よりも優れたお店として評価を得続けることはできません。なぜならばお客様の満足度は経年と共に変化していきます。初回来店の時の満足度は、事前期待値が低く、購買体験頻度も低いがゆえに満足を得られやすいです。

しかし、複数回来店され、他店での購買体験を積み重ねることによって、お客様の評価目線はドンドン上がっていきます。特に飲食店経営における「商品」はある種その気になれば多くのお店が模倣できるものですので、3年前は「相対的に価値の高かったもの」が、3年経った今では「相対的にもはや価値のないもの」になることは十分あり得ます。よって、継続的に自店の商品品質水準を高めること、お客様が飽きないように定期的に「季節メニュー」を導入することは大切です。そして、1年に一度はグランドメニューを総点検して、成熟化していくお客様の満足度を高め続けるためのメニュー改善を積み重ねることが、飲食店ビジネスを中長期的に発展させるためには大切なのです。既存店の持続的成長の観点でコンサルティングの現場でも重視しております。


3-4.需要期入口での集客活動






接客力の向上、店舗の運営力を高めること、持続的な商品力の向上は、来店したお客様の満足度を高めることにつながりますので、重要な取り組みです。一方で、経営内容を持続的に良くしていく上では「新規顧客の開拓」も大切な取り組みです。常連客だけで成り立っている飲食店は緩やかに衰退していきます。なぜならば、どんなに満足度の高い飲食店であったとしても、リピート率は100%にはなりません。非常に高い満足を体験されたお客様も転居や転勤などによって、物理的に来店できなくことは発生します。飲食店経営を成功させるためにはお客様のリピート率を高めることと同時に、新規顧客を毎年開拓し続けることが非常に大切です。

そして、新規のお客様を開拓するには皆さんが開業時に行ったような販売促進活動が必要になります。 ※2.9)参照
これらの活動には経費が掛かりますので、お客様が来店しやすいタイミングに販売促進活動を実施することがポイントになります。家族客を集客したい飲食店であれば「夏休み」「冬休み」「春休み」など子供たちが長期休暇に入る時期の入口に告知活動を行うのが効果的です。また、ビジネスマンやOLを集客したければ「給料日直前」に告知活動をすることで、反響率は高まります。その際には、集客したい客層が好む商品企画や来店特典(割引など)を企画設計する必要があります。

例えば、郊外立地で家族客を呼びたい海鮮居酒屋であれば、夏休み入口の7月20日あたりに新聞折込で「寿司祭り」を企画し、チラシ投函することで夏の需要期の集客力が高まります。逆に、家族客を呼びたいのに折込チラシで「日本酒祭り」を実施しても集客できません。「誰に」「何を売りたいのか?」を明確にして、「いつ」実施するのが効果的なのか?を考えた上で販売促進活動をすることが大切です。

 

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3-5.固定客化の仕組みづくり






経費をかけて新規顧客の開拓を行ったら、お客様満足度の高い店舗体験をしてもらい、その上で、再来店(リピート)してもらうのが経営としては理想です。しかしながら、通常何もしなければ、初回来店したお客様がリピートする確率は約50%です。

つまり、経費をかけて集客したお客様がリピーターになってくれる確率は非常に低いものです。よって、広告経費をかけて自店を体験してくれたお客様に2回目、3回目の来店確率を高めるための働きかけが重要になります。ポイントカード、再来店クーポンの提供、LINEやSNSでお客様とコミュニケーションが取れる仕組み作りなどが重要になります。
かつ丼のNO.1ファストフードチェーンである「かつや」では会計の際に「次回来店時に利用できる割引券」が手渡させれます。この割引券によって再来店率を高めているのです。

今後はデジタル化がさらに進むので、様々なデジタルツールに関する情報収集も継続してください。私たちのコンサルティングの現場でもこれから特にLINEミニアプリは注目すべきデジタルツールと考えております。ぜひ活用してみてください。

 

3-6.メニューのブラッシュアップ






3で解説したことと連動しますが、商品力の向上と合わせて、品揃えの見直しやメニューでの配置の見直しも非常に重要になります。

全国チェーンである丸源ラーメンでは、「肉そば」という名物商品がありますが、それ以外のラーメンの開発も定期的に実施しています。さらに「餃子」や「炒飯」の充実やブラッシュアップも行っています。また夏になると「冷麺」を季節限定商品として投入し、季節によって高まる需要を上手に取り込むメニュー戦略をとっています。

一方で、品揃えを増やすことによって、店舗運営力が低下したり、お客様にとって「わかりにくいメニュー」になってしまうこともあるので、注意が必要です。わかりやすく悪い例として取り上げると、「焼鳥専門店」が集客力の低下に陥った際に「魚の刺身メニュー」を充実させることは中長期的には「集客力の低下」につながっていきます。

お客様は焼鳥専門店に「美味しい魚」は求めていません。さらに「美味しい魚」を提供しようとするために、本来お客様に期待されている「美味しい焼鳥」の提供が疎かになります。自店のコンセプトがブレないように、強化されていく方向で改善・改良を実施し続けていくことが大切です。

 

3-7.月次損益計算書のチェック






企業経営において皆さんは1年に一度「決算」を行い、経営を振り返ります。そして、飲食店経営を行う上では、店舗ごとの経営状態の振り返りを「毎月」行うことが大切です。飲食店の経営力を高めるためには様々な取り組みが必要になりますが、それらを実行した結果、どんな成果が出ているのか?を損益計算書で確認することが大切です。新規のお客様を呼ぶために実施した集客企画にかかったコストは、増収増益に貢献しているのか?お客様満足度を高めるために実施した食材品質の向上は原価率にどれくらいの影響を及ぼしているのか?そのコストは近未来の客数増、売上増、粗利増に貢献しそうか?などなど経営状態をタイムリーに把握することが大切です。コンサルティングの現場においても主要数値のリアルタイムでの可視化は非常に重要視しておりますが、最近は安価で便利なデジタルツールが沢山登場しておりますので、上手に活用いただければと思います。

また、飲食店経営において最も大きなコストである食材原価については、棚卸の実施によって実際にかかった原価と、POSレジ(商品出数)とレシピ表から算出する理論原価率の差異をチェックすることも大切になります。本来あるべき使用食材コストと実際に使用した食材コストの差異は「ロス」であり、ロスを少なくすることで店舗の収益力は改善できます。

また多店舗展開する場合においては、店長力によっても収益性は差が出ます。自社内の優秀店舗と経営成績が劣る店舗を比較することで企業として取り組まなければならない課題も見えてきます。ぜひ月に一度全店舗の損益計算書をチェックしましょう。そして、スピーディーかつ精度の高い損益計算書を出せる仕組みづくりも大切です。そのためにはITシステムを積極的に活用することが不可欠になります。


3-8.日次決算へのチャレンジ






月に一度損益計算書に基づいて「経営の振り返り」を行うことは大切ですが、一方で、「日次決算」を行うことで、さらに経営の精度は高まります。

飲食店経営にかかる経費は固定的なものが多いです。家賃、減価償却費、社員給与、などは固定的な経費です。水道光熱費や販売促進費などは変動費ですが、変動幅は小さく、固定的に見込むことが可能です。つまり、飲食店経営における実質的な変動費は「食材原価」と「パート・アルバイト人件費」になります。この2大変動費である「食材原価」と「パート・アルバイト人件費」だけを日々実績を読み込み、それ以外の経費を日割りすることで、今日1日の営業結果によっていくら利益が出たのか(儲かったのか)?いくら赤字が出たのか(損をしたのか)?が明確になります。

そして、その積み上げを日々継続的に管理することで、当月の今現在の累計損益額が出ます。この活動をするだけで、月内の軌道修正やマネジメントがし易くなりますので、月1回の損益計算書の確認をするだけよりも、圧倒的に店舗の経営力が高まります。

多くの会社が複数店舗を持ち始めた際に起こる課題は「経費コントロール力の店舗格差」です。日次決算を実施することによって、店長の数字に対する意識が高まります。意識が高まるとあとは「改善」を実践するのみです。収益コントロール力を企業として高めるためには「日次決算」の取り組みは非常に効果を発揮しますので、ぜひ皆さんも実施してください。


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3-9.増収増益・店舗展開を推進するための計画づくり






飲食店経営における重要な2つの視点である「時流適応」「原理原則」、そして開業前にやるべき9つのこと、開業後にやるべきこと9つのことを解説してきました。これら20の経営ノウハウは私たち船井総研の経営コンサルタントとして様々な飲食店、外食企業へコンサルティングを実施する際に重視していることです。

経営の担い手である「企業トップリーダー」「経営者」「経営幹部」の皆様がどのようなビジョンを実現したいのか?どのような人生を歩みたいのか?仲間の人生も含めてどうなりたいのか?お客様にどんな価値を提供し喜んでいただきたいのか?によってノウハウの活用の仕方や「経営のデザイン」は変わります。

どんな経営をするのか?は「十人十色」、100社あれば100通りです。そして、皆さんが実現していきたい経営には「計画」があったほうが私どもは良いと考えております。もちろん「計画」は「環境の変化」によって変更される場合もあってよいと思いますし、想いが変われば「修正」すれば良いと思います。

実際、今回の新型コロナウイルスの影響によって「経営計画」や「経営ポリシー」を変更される会社は沢山あります。単一業態で事業成長を計画していた鳥貴族もこれからは鳥貴族以外のビジネス開発も行っていくと仰っておられます。まさに「時流適応」です。

人間は「環境」に大きな影響を受けますが、その環境作りの第一歩は「自らが描き発信する計画」です。ぜひ3年に一度見直すくらいの気持ちで良いので、皆さん自身の可能性を引き出す「計画」を作ってみてください。

丸亀製麺を展開するトリドールの粟田社長は1985年に8坪の焼鳥店を開業する際に「トリドール3番館」との屋号で看板を掲げられました。まだ一店舗の小さな焼鳥店を始めるスタートラインに立ったばかりの時ですが、「ゆくゆくは3店舗にしたい」という想いがそうさせたそうです。事業の出発と発展の可能性は「想い」と「計画」だと思います。ぜひ皆さんも思い切って「想いを(経営)計画に」してみてください。

 

4.まとめ






2021年5月現在、新型コロナウイルスの影響で外食産業は非常に大きな苦戦を強いられています。特に都心部や大きな繁華街で事業展開をしてきた飲食店、外食企業は厳しい状況です。こればっかりは自分たちの力ではどうしようもない外部環境です。

一方で、これらの環境変化によって新しい市場が産まれたり、新しいビジネスモデルも登場しています。コロナ対策で目先の資金確保をしっかりやりながらも、これからの未来に成長発展させる事業開発へ着手することもいま経営者には求められています。

当社の創業者である舩井幸雄(故人)さんは経営者として大切な「成功の3条件」として、①素直 ②プラス発想 ③勉強好き を挙げられております。経営体を良い世界へ導いていく役割を担う経営者(トップリーダー)である皆様には、いかに「時流適応」し、経営体を良い方向へ導いていくのか?を考え、組織を明るい未来へ導いていただければと思います。

 
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担当者

外食・中食ビジネスチーム

船井総合研究所の外食専門コンサルティングチームです。
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