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焼肉屋の開業資金の考え方 ~焼肉専門コンサルタントによる解説~

焼肉屋の開業支援をしていて多くの質問を受けるのは、「焼肉屋の開業資金はどれくらいでしょうか?」という内容です。

本コラムでは焼肉屋の開業資金についてのよくある質問とその回答について解説させていただきます。

焼肉店を経営されたいと考えている方は、まず「メニュー」や「外観・内装」や「サービス」などの内容を考えがちですが、とにもかくにも「開業資金」を算出し、「資金調達」をしなければ始まりません。

実際、コロナ禍によって焼肉店を開業されるケースは増えましたが、一方で、財務が悪化した飲食店の場合、金融機関から新規の設備投資資金としての融資が受けられないケースもございます。

 

それでは、早速焼肉屋の開業資金について解説させていただきます。

 

 

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【条件①】業態によって異なる投資額


まず、そもそも「どんな焼肉業態」をやりたいのか、によって投資額が異なります。

焼肉業態も、「食べ放題業態」「高級業態」「低価格業態」など様々な業態があります。当然、業態によって投資額が異なります。

例えば、「高級業態」の場合「内装」もこだわらなければなりません。
高級な焼肉店で気持ちよく食事をしていただくには、内装費、テーブル、椅子、食器などの什器・備品費にいたるまで気を配り、デザインや使い勝手の良いものをそろえる必要があります。必然的に、工事以費、それ以外の開業にかかるコストも高くなります。

また、牛肉を美しくカットする「職人技」に対する対価や気配りが行き届いたサービスをする「サービスレベル」に対する対価としても採用・教育費に金額をかけなければならないと考えると、「人件費」も「大衆業態」よりはかかりやすいといえるでしょう。

一方、「大衆業態」であれば上記のコストは比較的安く抑えられます。内装もそこまでこだわる必要がなく、ダクトも無煙ロースターではなく煙突タイプの低価格タイプ、網も使い捨て、食器も100円均一ショップなどで揃えても問題ありません。
牛肉のカットも、「焼肉店で修業を積んだ職人」でなくても包丁を握れてそれなりにカットができれば、そこまでの採用経費・教育費をかけなくても成立しえます。

このように、オーナーが「どのような焼肉店をしたいのか」によって開業時に必要な資金は大きく異なります。

また、焼肉という業種特有の投資コストも他の飲食店と異なり、発生します。他の飲食店との大きな違いは「無煙ロースター」や「排煙ダクト」など空調関連設備に費用がかかります。また、住宅地などが近隣にある場合は「煙」や「臭い」を除去する装置も必要になるケースがあります。

また、近年は生産性向上を実現するために「省人化要素」となる機器への設備投資も重要になります。料理の提供を機械で行う特急レーンや配膳ロボットもこのコロナ禍によって一気に普及しました。またセルフレジの導入やセルフオーダーシステムなど「セルフ化」を進める上でのシステムへの投資も拡がりをみせています。これら「省人化要素」を取り入れるメリットは、工数(作業に充てる時間)削減です。これら設備は高いものではありますが、この先も長きにわたって少子高齢化が続く日本においては、あらゆるデジタル技術を利用し、生産性を高めて行かなければなりません。

生産性の向上は、作業時間の削減だけでは限界がありますので、集客力も高めなければなりません。当社が提案するレモンサワーをセルフ飲み放題(60分500円)で提供する形態は、お客様が自分でサワーを注ぐため、省人化要素になるとともに、集客力にも寄与する要素になっています。ただし、1店舗あたりに設置するドリンクサーバーへの投資金額は高くなります。

【条件②】大箱か、小箱か?規模によって異なる投資額


飲食店の売上は席数(規模)に比例します。当然、席数が100席、200席と大きければ大きいほど一度に入店できる客数も多くなり、その分売上が上がります。しかし、規模を大きくすればするほど初期投資額が大きくなります。
特に、焼肉屋の場合は「ダクト(排煙機)」と「ロースター(焼き台)」を全ての卓に設置することが求められるため、一般的な飲食店よりも投資がかかります。

また、大規模の焼肉店をオープンしても満席にならなければ家賃や人件費に見合うだけの売上を立てられず、赤字になります。一方、15~20席ほどの小さな焼肉屋の場合は、「15~20人」さえ集客できればすぐに満席になります。固定費も低いため、損益分岐点が低く、経営リスクを抑えられます。

参考までに、小さな焼肉店の開業時の投資額の目安を記載します。

【25坪 飲食店居抜き物件の事例】

 建築工事費  1,000万円
 家具費  100万円
 ダクト費  350万円
 厨房機器費   300万円
 備品費   80万円
 レジ費     120万円
 その他開業資金 50万円
 =================
        2000万円

オープンするときの「初期投資額」だけでなく、長い目で見てどちらの方がオーナーにとってとるべき道かは、よく考えて出店したほうが勝算は上がります。

また、開業時には上記のような設備など初期投資に充てる資金のみでは不十分で、開業に必要な採用コストや初期在庫コストや運転資金も準備しておくことが大切です。コロナ禍によって飲食店の集客状況は非常に不安定な状況に陥りました。民間の金融機関(銀行、信用金庫など)のみならず、日本政策金融公庫などにも事業計画を説明し、現在の財務状況もシビアにチェックしてもらい審査してもらいましょう。潤沢に手元に資金を持った上で開業をすることが大切です。

また、飲食店向けの助成金や補助金なども活用できるものがないか金融機関や士業の先生方(税理士や行政書士など資格保有者)にも相談しましょう。コロナ禍以降の焼肉店の開発においては、事業再構築補助金を活用して開業したケースも多いですし、デジタル技術への投資やセントラルキッチンへの投資などで様々な補助金を活用できるケースも多々あります。しっかり国や自治体などから援助してもらえるものは利用し、できるだけ金融機関などへの借入元金の返済額が抑えられるように工夫しましょう。


【条件③】居抜きか、スケルトンか。


初期投資額は物件の条件によって、大きく異なります。

「居抜き」とは居酒屋や焼肉店が撤退し、厨房やテーブル、椅子などがそのまま使える物件のことです。当然、使えるものがあるので投資額を抑えられます。

飲食店の撤退物件(=居抜き)をそのまま使うと厨房レイアウトや客席のレイアウトが、オーナーがされたい業態に「最適なレイアウト」ではないことが多いのでオープンしてからやや不具合が生じる場合があります。

一方、「スケルトン」とは店舗の内装・造作がない状態のことをいいます。 どのような厨房レイアウトでも、席数でも自由に組めるためオーナーがされたい業態に「最適なレイアウト」を組むことができますが、「ゼロ」から電気・ガス・水道工事、厨房工事、テーブル・椅子などの什器備品、ダクト・ロースターの購入・設置などが必要なため投資が大きくかかります。

具体的には、スケルトンの場合は坪当たり100万円の投資金額がかかるとみていただくのがよいと思います。

豊富に資金のある企業であれば居ぬき物件を一旦スケルトン化して、ロボットフレンドリーなレイアウトや差別化コンセプトを図面に反映(例えば、精肉小売や焼肉弁当を販売しやすい工夫など)させることも良いでしょう。

しかし、個人でお金に余裕がない状態で初めて焼肉店を始める場合は、ラーメン屋やうどん屋などの予めオープンキッチンが備わっている居抜き物件を活用し、できるだけ既存レイアウトや中古の厨房機器や設備も使用し、開業資金を抑えることが重要です。

いずれにしても新しい事業を始めるにあたっては一人で考えて、決めるのではなく、できるだけプロや経験の豊富な方々に相談して、慎重に進めていかれることを念頭に置いていただければと思います。


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