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外食・中食ビジネス

コラム仮

飲食店経営の時流適合は、既存業態の“バル化”

日本の外食市場においてバル業態はすっかり定着したと言っても過言ではないでしょう。

10~15年前にバル業態が出来た時は「一過性の業態では」というお声も多かった記憶がありますが、今では飲食店経営者が抱える課題を解決しやすい業態として、むしろ今後更に増えていく傾向にある事は間違いありません。

1. バル業界の流れ

バル業態が日本に根付くきっかけになったのはスペインバルがスタートではないでしょうか。
 
300円のタパス料理(小皿)とメイン料理のパエリアと低価格ボトルワインを売りにした業態です。
主な集客ポイントは「洋食料理が低価格で食べられる」というものであり、どちらかというと低価格に対して意識の高い客層がメイン客層でした。
 
その後、現れてきたバル業態がイタリアン、フレンチをテーマにしたバル。
ピザやパスタを売りにした業態です。
低価格という要素よりも、原価率を高め、お値打ち感を売りにしたお店が集客する傾向にありました。
 
その後、牛肉、鶏肉、海鮮といった食材特化型と鉄板、炭火、石釜などの調理法特化型のバル業態が出現。
より商品力が求められ、その専門性が集客要因になる業態です。
 
撤退しているバル店舗が増えているのは現実ですが、それはバル業態に問わず言える事であり、競争が生れるからこその必然的な現象と言えるでしょう。

2. バル化する事でのメリット

今では、既存業態をバル化する流れが急増しています。
では、バル化とはどう言ったものなのでしょうか?バル化する事で得られるメリットとは?
 
① 圧倒的に採用しやすい
→ 既存業態の5倍スタッフが集まった、オープン採用でPAで400名の募集があったなどの結果に。
 
② 女性、カップル、若年層が増える
→「カッコよさ」に憧れる客層。今までカッコいいだけの業態であったダイニング業態に足を運んでいた客層。カッコよく、美味しく、お値打ちな店は以外と少ない。
 
③ トレンドに敏感な客層が増える
→ 情報発信している客層。彼らの集客が増えると自然と口コミが増える。
 
④ 客単価が上がる
→ ワイン業態は客単価が上がる傾向。そして、今までよりもシチュエーション使いされる店はハレの日使いが多く、単価が上がる傾向に。
 
⑤ 集客時間帯が長くなる
→ アルコール色が強くなる為、二軒目使いが増える。
 
⑥ 原価率が下がる
→ アルコール比率が高まる事で原価率が下がる。目新しいシチュエーションが「価値/価格」という基準を鈍らせる。少し高めで販売できる。

そして、何よりも成熟した業界において、差別化できる業態として注目を浴びているのです。
 
「①採用しやすい」というメリットも、現状の業界状況では、大きな成果と言えるのではないでしょうか。
ある企業では、このバル業態を中心に採用をし、時給をあげた上で他業態に振り分ける動きも見せています。
企業全体に及ぼすメリットは非常に大きなものがあります。

3. バル化するために

「バル化する」と聞くと店内を大きくリニューアルしないと駄目という印象があるようですが、そんな事はありません。
 
見た目は居酒屋なのに、バル化しているお店も多々あります。
では、その手法はどんなものがあるのでしょうか?
 
① BGMがクラブミュージック
→ 店の雰囲気づくりで最も重要なのが意外とBGM。20代後半のトレンドに敏感なOL、サラリーマンが聞くもので気分が高揚するものが好ましい。
 
② 照度が低い
→ 隣のお客とコミュニケーションを取れるような雰囲気づくり。明るい店舗は理性的になりやすい。女性は本能で購買する傾向にある。
 
③ スタッフがフランクな雰囲気
→ お付き合い先では制服の廃止。私服で接客する傾向に。お客様からのアルコールも頂く流れにシフトしている。あくまでバルとして楽しい雰囲気づくりに徹する。
 
④ ドリンクが充実
→ 女性が好むようなフルーツカクテル、ノンアルコールドリンクの充実。決め手はグラス。本能的に「可愛い!」「写真を撮りたい」と思わせる提供方法。
 
⑤ ごはんものが充実
→ 決してバーにならないように、〆料理も充実させる。
 
⑥ デザートが充実
→ バル業態のデザートは以外と出数が少ない。ただ、メニュー上に表記してある事で女性受け入れの認識になる。
 
⑦ 看板に英字を入れる
→ 一文英字が入る事でバル感が出る。

経費をかけずにバル化する例を挙げましたが、実はこんな事で女性客やカップルが増えたりするのです。
最近では、上記の流れで焼肉バル、和食バル、焼鳥バルのような業態も急増しているのです。
当然、バル業界で専門性の必要性は言うまでもなく、これをクリアした上での話になります。
 
美味しい(専門性がある)のは当たり前。お値打ちなのは当たり前。プラス楽しく、カッコよく食事をしたいというニーズが高まってきているのです。
時代の流れと共にニーズは変化するものです。
 
過去の固定観念に捉われる事なく、新たな発想での業態づくりの考え方が必要になってきているのです。

 
▼新しいビジネスモデルをお探しの方はこちらのページもご覧ください。
注目の飲食店「新ビジネスモデル」事例解説 ~コロナ後の新しい時代への対応業態の作り方~

 
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担当者

外食・中食ビジネスチーム

船井総合研究所の外食専門コンサルティングチームです。
新ビジネスモデルの提案、新規出店、リニューアル、集客、人材採用、評価制度構築、FC本部構築など、飲食店に専門特化したご提案をさせていただきます。

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