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外食・中食ビジネス
コラム仮
2023年の飲食業界の動向・市場について
フードビジネス.comは2023年からも外食や中食などの新規出店、既存店活性化、人材採用、マネジメント、デジタル化、DX化など飲食店の経営について、業界の皆様にとって有益な情報をご提供できるように努めていきたいと思います。
1.飲食業界の時流変化
2023年からの飲食業界の時流や市場規模についてですが、「2023年から」ということで、劇的に何かが大きく変わるということはないと思われます。
飲食店経営において、大局的な時流の変化の方向性は既に決まっており、
1.ツキのある立地開発✖︎業態開発(時流適応)
2.人手不足への対策
3.原材料の値上がりによる利益圧迫
4.SNSの活用
特に1〜3の3つについて、飲食店経営者は対応していく必要があるというだけです。
飲食業界はコロナによって大きなダメージを受けた一方で行政からの補助金・助成金によって救済されてきました。
しかしコロナ後以降、行政からの支援がなくなる一方で融資の返済が始まると対策をしていない店舗はかなり厳しい経営状況となります。
1-1.ツキのある立地開発✖︎業態開発(時流適応)
1-1-1.立地開発の成功ポイント
外食産業は「立地産業」と言われるほど成功における立地の比重が大きい産業です。
出店する際にも先行投資としてかかる費用も大きいのが立地。ただ単純に「土地が安かった」や「駅が近い」などのような理由で出店を決めて失敗してしまう事もあります。
立地の重要性をしっかりと理解し、近くの飲食店に業態や価格帯、周辺を出歩いている人たちが自分がターゲットとしている客層と一致しているのか。マーケティング戦略を立てる事でツキのある立地開発が可能になるでしょう。
立地開発で成功すればオープンした時から集客をある程度成功した状態で始める事が出来ます。なので集客の為にかける予定の広告コストを削減する事ができ、他に利用する事が可能になります。
また路面店のように人の目に付きやすい所は新規の顧客獲得に繋がりやすく、少し奥まった所にある店舗は隠れ家的存在として新規顧客の獲得は難しいもののリピーターの獲得に向いているという利点があります。
前者であればカフェや居酒屋などの大衆向けな店舗、後者であれば少し高級趣向のレストランなど経営している店舗の種類によってもこだわる事が可能です。
1-1-2.業態開発の成功ポイント
立地以外にも重点をおいて考えなければならないのが「業態開発」です。
例えばお寿司を販売するとして、回転寿司として提供するのかカウンターで一貫ずつ提供するのか。これが業態の違いです。
業態開発を行う上で気を付けたいのが、流行りのトレンドです。流行りはその時々に移り変わるものであり、消費されていくのも比較的早いものです。近年の例で言うとチーズハットグやタピオカでしょうか。かつては一世を風靡したものでも、今はあまり見かけなくなりました。トレンドの起こり方としては、海外から日本に来た目新しいグルメや著名人がSNSで発信したものが多いようです。時流を読み、うまく適応する事が外食事業の波にのる秘訣であると考えられます。
しかし、むやみやたらにトレンドを取り入れれば良いというものではありません。
流行の真っ只中にサービスを開始すればある程度の集客は見込めるかも知れませんが、いずれかは他店に淘汰されてしまう可能性があります。なので、自社の強みを活かせるものでなければ、ただ流行りに乗っかっているだけになってしまうので自社の強みをアピール出来ず、他店と差別化を図ることが出来ません。
1-1-2.2023年の飲食店業態トレンド
具体的に2023年のトレンドとなる業態をいくつかピックアップしましたのでチェックしてみてください。いずれも消費者のニーズを満たす事が前提となります。
過去にトレンドとなった業態も時が経つ事でもう一度トレンドとなるパターンもあります。
・健康志向食品を取り扱う店舗
・おひとり様用のサービスが充実した店舗
・専門性の高い形態
・テイクアウトやデリバリーを強化した店舗
・日本ではまだ浸透していない海外の伝統的なスイーツ
1-2.ますます加速する人手不足への対策
コロナウイルスの流行による飲食店の減少、2023年アフターコロナになっても完全に戻りきらない客足と売り上げにより飲食店業界全体の人手不足が続いてます。正社員が人手不足だと感じる企業は半数を超えていて、非正社員が人手不足だと感じる企業は約7割に及んでいます。
では、どうして人手不足に陥っているのでしょうか。様々な理由が挙げられますが、そのうちの大きな理由として考えられるのがコロナウイルス(以下:コロナ)の流行でしょう。
コロナの感染拡大を防ぐため、政府から様々な制限が飲食店には課せられました。
それに伴い、売上が大きく減少する事になり、少しでも経費削減の為に対象となったのはアルバイトやパートの人件費です。アルバイトの人でも組んでいたシフトが削られた事により、退職し飲食業界にあまり良いイメージを持たないまま新たな業界のアルバイトに転向する人も少なくありません。
このように飲食業界から流出してしまった人材が戻りにくい点が今の人手不足に繋がっているのでしょう。
他にも正社員の人手不足の理由として拘束時間が長い事、勤務時間や休みが不規則など時間面での負担が大きい事が挙げられます。他にも調理以外の事務作業が意外と多く負担になっているようです。
1-2-1.DX化への推進
このような人手不足はどう解消すれば良いのでしょうか。長時間労働の負担を減らす為に、近年良く取り組まれているのは「DX化の推進」です。DX化はITツールの導入による作業の効率化を目的としていて、勤怠管理やシフト作成、レジ締めなど本来煩わしいと感じられる作業のスピードアップが見込めます。
ただ事務作業が楽になるだけでなく、客席にタブレットやQRコードをおいて注文を取る行為を簡略化する事で人件費の削減やスタッフの負担軽減にもなり、尚且つ人手不足をカバーする事が出来ます。
1-3.放置できない原材料の値上がりによる利益圧迫
今、外食産業や飲食店は原材料の値上がりによる利益圧迫が続いています。
少し前まではコロナウイルスの流行でロックダウンや人手不足が引き起こされ海外との輸出入が滞り、これにより供給量が減少し価格が高騰もしくは供給がストップする現象が続いていました。
最近ではロシアとウクライナでの衝突による影響で小麦などの穀物の原料の価格が高騰していました。それにより様々な業態の飲食店が影響を受けていました。
このような価格高騰に店舗はどう対応していけばよいのか。一番最初に想像出来るのは、商品の値上げでしょう。しかし、値段を大きく上げてしまうとライトな常連層などの顧客が離れてしまうかもしれません。顧客目線に立って考えると、値段据え置きで以前と変わらない方が良いと考えているでしょう。一方、経営者目線としては値上げをしないとなると材料の調達ルートを変更するなどで仕入れ値を抑えることや、食材のロスを減らして無駄になるのを防ぐためにそもそもの仕入れ量を減らすなどの方法があります。
ただ値上げをするだけでなくメニューの見直しを図ることが重要になってきます。
では、具体的にどのようにすればよいのか。
<具体例>
・量は減らすが盛り付けにこだわる事により、ボリューム感があるように見せる
→近年売り上げを伸ばす工夫として「映え」を意識した盛り付けが人気です。見た目のインパクトを重視する事で満足度を維持する。
・セットメニューの内容を変更する
→サラダ+ドリンクのセットをドリンクだけに変更するか、別料金でセットを組めるようにお客さんがカスタマイズできる仕組みに変える。
・注文の少ないメニューをやめる
→メニューの数を減らす事で、結果そのメニューの為の食材の仕入れ分のコストをカット出来る。
・期間や数量を限定したメニューの作成
→数や期間を限定する事によりお客さんの「試したい」という意欲にアプローチする事で客単価の向上を狙う。
1-4.SNSの活用
今後飲食店の集客や情報の告知にはSNSが必須になってくる事が予想されます。
前述の限定メニューや値上げの告知、値上げへの理解の訴えかけなど店舗情報の発信が可能になります。また、「タグ付けや拡散してもらえると○○サービス」のようなSNSを活用したキャンペーンを行う事でお客さんに集客のサポートをしてもらい更なる集客を狙う事が出来ます。SNS以外にも最近TikTokを活用して店舗情報の発信やスタッフ紹介を行う事で親しみを持ってもらい来店ハードルを下げる動きが見られます。
2.これからの飲食店経営者が持つべき視点
外食産業とは人々の生活とは切っても切り離す事ができない暮らしに根付いた産業です。この産業の重要性は経営者の皆様が一番理解されているでしょう。
これからの時代、外食産業の店舗の在り方や経営の仕組みがどんどん変化する可能性があります。
しかし、前述した「時流適応」「人手不足」「原価高騰」については、いずれも目の前の近い課題であり、従来の飲食業の運営スタイルの前提自体を大きく揺るがしてしまうものばかりです。そういう意味では、これらの大きな変化に対応できなければ、中長期の安定経営は難しいでしょう。
こうした環境の見通しの中で、2023年も飲食業界においては、多くの店舗の廃業・撤退が相次ぐとともに新規プレイヤーの参入が進んでいくことは間違いありません。
それに加え、コロナ中に受けた行政からの融資の返済が始まるため今まで以上に利益にこだわった経営が求められます。
美味しい料理、良い接客をしていれば、お店は成り立つ…
こうしたシンプルな時代は終わり、今後の飲食店経営は高度化し、経営領域についての改革・改善をどの程度できるかが問われるようになります。
皆様の飲食店経営においても、上記の視点を持っていただければと思います。
2023年の飲食業界時流予測をまとめた無料ダウンロードレポートも公開させていただいております。
是非ご活用ください。
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