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地方の老舗菓子店「とらや菓子店」の新客層開拓と事業承継への挑戦

創業1949年。人口7万人の地方都市、新潟県柏崎市の和菓子店「とらや菓子店」様。
社長のご子息が跡継ぎとして入社されて5年で売上を2倍にされるなど、地方でも成長を続ける菓子店について、次期社長の上野宏太郎様にインタビューを行いましたので、その様子を共有いたします。
会社概要
(有)とらや菓子店 ( https://www.toraya1949.com/ )
従業員数:11名(パート・アルバイト含む)
年商:3,700万円(2024年決算期)
コロナ禍中の2020年に、後継者の上野様がご実家のとらや菓子店の事業に携わられるようになり、新規業態付加や業務改善に着手される。2025年中に代表交代予定。
商品開発+カフェ付加+SNS販促での新規客層開拓について
上野様が入社されて、まず取り組まれたこととして、和菓子店に併設する形でカフェスペース「ToRaYa」をオープンすることでした。コロナ禍により、冠婚葬祭関連の売上が激減したことにより、個人消費を掴もうとの取り組みとして、カフェの開業を考え、実行されました。
もともとは和菓子店であったため、若い客層がいませんでしたが、カフェを開業したことで、若年層(中心としては30代の女性)の集客ができ、カフェ事業では「3:7」=「柏崎市内:柏崎市外」の集客となっており、足元商圏以外からの集客もされています。
では、どうすれば、市外も含む広域からの集客が可能となったのでしょうか?
①ローカルインフルエンサーに取り上げられる
カフェの客層である若年層の中には、地元で活動するローカルインフルエンサーがいたことも、カフェの情報が若年層の間で拡散されるきっかけとなりました。自社でSNSを運用するだけでなく、情報発信力が高い人に情報を発信してもらうことも、SNS時代に必要な情報発信のポイントとなります。実際に、インスタグラムのフォロワーは1万人以上に伸ばされ、フォロワーも新潟市(柏崎から車で1時間以上)が最も多くなっています。
②時流に乗った商品の付加
上野様にお話をお伺いする中で、自社の強みである、餡子を使った羊羹とチーズケーキ「TORAYA CHEESECAKE ※下記写真」が集客のアイコンになったとおっしゃられます。チーズの消費金額は過去15年で1.5倍以上に伸びるなど、時流に乗った商品であるといえ、実際にコロナ禍中には通販でも買えないチーズケーキが人気となるなど、トレンドとしてもヒット商品が出てきており、そのような洋菓子がフックとなって集客にも寄与しているとのことです。
また冷凍保存が可能で生産性も高い点なども、ただ商品開発をするだけでなく、生産性向上も含めたヒット商品を出す際に重要な点ではないでしょうか。

③コンセプトをぶらさない商品開発・情報発信
SNSで情報を発信するとなれば、いわゆる「SNS映え」が必要かと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、上野様は商品開発・情報発信でも「とらやらしさ」「洗練」「原材料へのこだわり」をキーワードとして重視されています。
原材料・人件費が値上がりする中で、「質の伴った値上げ」を実施することで、お客様にも支持される値上げができると考えられており、そのような世界観を発信できる商品開発・情報発信を心掛けておられます。
また事業を付加する中で、新規で人材が必要となることもありましたが、そんな中で情報発信を積極的にされているからこそ、店舗のファンである方や、理念に共感できる方を雇用でき、同じ方向を向いて働くことができる方が採用できているとおっしゃられます。
DX化と業務効率化について
業務効率化では、第一に「質を落とさずに生産性を上げる」ことを掲げられています。
ですので、まずは受発注などのバックオフィスからDX化に取り組み、クラウド会計ソフト「freee」を導入されました。給与計算にかかる時間がたった15分に、受発注管理の時間も約1/5になるなどの成果もあらわれ、接客や製造により時間を割けるようになられました。特に事務作業は完全アナログであったからこそ、DX化がしやすかったと上野様はおっしゃられます。
また、チームでの情報管理ツール「ストック」も導入し、スタッフ間で会議事項・決定事項の共有を実施されています。改善点を各スタッフが見つけ、さらにそれを日々の改善に活かせるように、ただ任せるだけでなく、仕組み化・システムの導入を通して実現されています。
事業承継と理念経営について
どのような企業でも訪れる「事業承継」。この2年くらいから本格的に事業承継の話を進められ、9月以降で代表を承継する予定とされています。その中でのお取組みとして、社内で目指すものを1つとできるように企業理念にあたる、「VISION」「MISSION」「PHILOSOPHY」「VALUE」を策定されました。
社内でMTGを月に1回行い、1年ほどかけて理念を策定。社長個人ではなく、企業として軸を持つことにより、トップが変わっても会社としての軸がぶれないようにする取り組みをされています。
また、上野様が経営に携わられる上で、「働きやすさの整備」・「会社の持続性」を主眼に置かれております。ご自身が職人ではないからこそ、ロジックを用いて会社を運営していかれたいとおっしゃられます。菓子業界出身でないからこその視点でのお取組みなど、業界や自社の常識にとらわれないお取組みができているのかと考えております。
編集後記
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
インタビューをさせていただく中で、上野様自身が職人ではないからこそ「経営」に時間を割くことができ、マーケティング、業務効率化など取り組む時間があるとお聞きしました。
改めて、良いモノづくり、菓子づくりを前提とする中で、
「既存客、既存販路だけでなく、成長のために新たな販路をどのように持つか?」
「働き方改革、DXが叫ばれる中で、何から手を付けるか?」
「事業を後継者に引き継ぐために何から手をつけるべきか?」など、
お考えいただくきっかけとしていただければと思います。
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