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クラフトビール醸造設備・機器の選び方のポイントを解説

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1.醸造設備の基本情報


ブルワリー開業コラムとして、今回は設備選定における考え方をご紹介いたします。

難しく考えがちですが、基本の必要設備をおさえていただければ、あとはシンプルな計算で販売見込みから設備選定をしていくことが可能です。

 

日本でも500ヵ所近くにのぼるビールメーカーがありますが、どの企業も間違いなく設備選定で悩んだ過去があります。

造るビールの種類、販売計画に見合う規模、増産体制を踏まえた設計など、様々な要素が複雑に絡むことになります。

 

その導入設備が決まると次の課題は、どの設備メーカー、代理店に依頼するかですが、メーカーや販売店によって初期投資が大きく変わってきます。

調べていくと分かりますが、実は国産の醸造設備はあまり多くありません。

この理由は、ビール産業はヨーロッパ・アメリカが先んじて進んでいるためですが、海外製品(中国製品が非常に多いです。)で高パフォーマンスで安価なものが多くあります。

日本でビール醸造設備を扱っているほとんどの会社は、この海外で製造したものを販売している販売店・代理店になります。

醸造設備を選ぶ際は、こういった代理店やコンサルティング会社からまずは見積もりを取るところから始まりますが、大事な視点としては、事業の損益分岐点から自社に合った設備を選ぶということです。

 

2.損益分岐点から見るビール醸造設備の選び方


クラフトビール醸造事業の損益分岐点はどこにあるのでしょうか。

クラフトビールの販路は直売・卸の2つですが、その中でも樽販売・瓶(缶)販売があります。当然これらの違いで単価が異なるのですが、計算をシンプルにするため、以下のように設定してみます。

 

■販売量

直売:卸比率=6:4

樽:瓶比率=7:3

 

ブルワリー開業後、飲食店への樽卸の販路も開拓しながら、自社の店舗を中心に販売をしているイメージですね。

 

また、このブルワリーの損益分岐点を見つけるため、固定費を仮で設定します。

 

■固定費

人件費:正社員2名+パートアルバイト 計1,200万円

家賃:坪1万円で30坪 計360万円

水道光熱費:計240万円

販促費・配送費:計200万円

その他:計200万円

 

固定費:合計2,200万円

 

この場合、原価を300円/Lとして、損益分岐のビール製造量が18,295L(売上で約2,750万円)となります。

つまり、年間19KL以上製造すれば黒字、利益が増えていくことが分かります。

 

このように、年間で必要製造量が分かれば醸造設備の規模(キャパシティー)を計算することができますので、年間25KLくらいは製造できる設備が欲しいとイメージできるのではないでしょうか。

当然、発泡酒免許取得には6,000Lの製造販売が絶対条件なわけですが、企業として採用を増やしていこうと考えると、とても免許上の醸造量では足りないことが分かりますね。

そのため、新規事業をお考えの中小、中堅企業様には最低25KL以上製造可能な醸造設備の導入をお勧めいたします。

 

それでは、年間25KL以上製造可能な設備はどのようなものなのでしょうか?

【結論は、1回の仕込みが300L以上の醸造設備です。】

 

日本でこの300~500L仕込みからスタートするブルワリーが近年多い理由はこのためです。

大き過ぎる設備でのスタートは初期費用がかさむだけでなく、醸造担当者の慣れによって最初の醸造の失敗が大きな痛手となってしまいます。

一方で、小さ過ぎる設備でのスタートでは上記の通りコストに合っていなかったり、需要に対して供給が足りなかったり、麦芽の原材料費やホップの使用効率が相対的に落ちるので、原材料コストが高く付いてしまったりします。この点を気をつけましょう。

 

3.メインの醸造設備の機能


ブルワリーの必要設備について、簡単に紹介します。

クラフトビールの製造には、大きく2つの設備が登場します。それが、「ブリューハウス(Brewhouse)」と「発酵タンク」です。

 

ブリューハウスには、「ホットリカータンク」「マッシュタン」「ケトルタンク」という3つのタンクが備わっており、ここでビールのもととなる麦汁を造っていきます。

発酵タンクはその名の通り、移し入れた麦汁に酵母と酸素を加え、アルコール発酵を促します。

 

ざっくりと各設備と順序について説明していきます。

ホットリカータンクはビール醸造に使用する水を事前に温めて貯めておくタンクです。

ホットリカータンクで温められたお湯と麦芽をマッシュタンに移し、ビールの「素」となる麦汁をつくっていきます。マッシュタンは、アルコール発酵の原料となる糖を造るため、麦芽の糖化するためのタンクなのです。

次に糖化された麦汁を濾過し、麦芽カスと分別し、麦汁のみをケトルタンクに移します。ケトルタンクでは、沸騰させながらホップを加え、苦みを抽出していきます。

ボイルケトルでの煮沸が終わると、麦汁は熱交換器で急速に冷却されて、発酵タンクに移し、適切な温度まで冷やされた段階で酵母と酸素を入れることで発酵が始まります。

そのまま約1~3週間、酵母によってアルコールが十分に発生したことを確認して、貯酒タンクやケグ樽に移し、熟成を経ることで製品化されます。

また、瓶ビールや缶ビールは、熟成後に充填することになります。

 

発酵後には、製品化のための行程が踏まれますが、クラフトビール醸造所を始めるにあたり、ブリューハウスと発酵タンクという2つの設備が重要です。

そして設備選定という意味では、ブリューハウスの大きさと発酵タンクの本数で製造キャパシティーが決まります。

 

ざっくりと計算をするのであれば、休暇や洗浄作業を考慮して、年間52週間のうち週に2回醸造が限界と仮定するといいでしょう。

今回は仮に300Lのブリューハウスを導入するとして、以下の計算式になります。

 

52週 × 2回 × 300L(仮)= 31,200L

 

実際にはロスも生じますので約26,000Lになりますが、損益分岐点を超える製造キャパシティーがあります。

 

4.醸造設備に関わる重要なポイント


その他、設備に関わる重要なポイントとして、よく見逃されている点をご紹介します。

まずは、醸造設備の配置・設計です。小規模な醸造所ですので、そこまで導線などを工夫することはありませんが、設計段階で設備同士の繋がりがありますので、配置・設計は効率化を進めるためにも考えなければなりません。

また、チラー配管やボイラー配管など、設備によって必要な配管が素材も異なり複雑になってきます。配管に関しては、プロに相談の上行わなければ、設備の不具合はもちろん、重大な事故にも繋がりますので、自ら勘で行うなどないようにしてください。

加えて、醸造設備の設置費用・配管費用が設備見積もりに入っていないことにも注意してください。重量物の搬入・設置、設備同士の配管には業者の手が必要ですので、ここの見積もりも最初に確保しておきましょう。

 

5.まとめ


今回は、クラフトビール醸造所の開設をお手伝いしているからこそよくわかる新規参入の壁についてご紹介いたしました。損益分岐点から醸造設備を選定するという視点は持ちつつも、美味しいビールを造っていくために一歩ずつ進めていきましょう。

 

また、弊社では素人からブルワリー参入が可能なコンサルティングプランをご提案しております。醸造設備も日々進化しており、素人の方でも研修を積んでいただければ製造は困難ではなくなってきています。ぜひお気軽にご相談ください。

 

■お見積りやご相談はこちらからお問い合わせください。

https://funaisoken.ne.jp/funai-food-business/soudan-foodstuffs-inquiry.html?_ebx=b5d6147jhz.1569995204.7emnvuf#_ga=2.214440210.465677308.1612152480-1159670468.1574662890

 

今後も業界参入のネックとなりやすい、発泡酒・ビール製造免許や醸造研修はもちろん、そもそも論として、クラフトビール醸造所立ち上げに成功している会社と、失敗する会社の違いが何なのかについてもご紹介したいと思います。

 

6.セミナー&経営相談


 

弊社ではクラフトビール事業新規参入セミナーを毎月行っています。最新のセミナーはこちらからご確認ください。
https://sem.funai-food-business.com/seminar/

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